第5回TJN(つるが発次世代看護あり方研究会)勉強会 Report
日 時:2025年10月24日(金)18:30-20:30
テーマ:「電子カルテの現状と未来像」
講 師
中西 永子氏(兵庫県立大学看護学部看護基礎講座看護情報学 講師)
会 場:敦賀市立看護大学 第1会議室
参加者
内布、山崎加、佐々木、伊部、新田、池原弘、井上、伊東、川口、内江、林愛、野里、奥田、山崎(事務局)、高橋(事務局)、西川(保健管理室)、横山(書記)、笹山(看護協会)、窪田(レイクヒルズ)、吉田(小浜病院)、敦賀医療センター(西本師長、濱中師長、園田師長)、市立敦賀病院(山屋、仲谷、川端案、川端彰、田邉、孫野、加門)※リモート参加(3名):岡本、市立敦賀病院(石谷、小堀)
計33名(リモート参加3名含む)
【中西先生レクチャー】
医療情報学の専門家を招き、「電子カルテの現状と未来像」をテーマに講義していただいた。講義では、主に
①「電子カルテの仕組みや課題(看護記録に焦点をあてて)」
②「現在取り組まれている病院電子カルテの方針」
③「標準電子カルテを踏まえた看護師用カルテの将来構想」の3点について教えて頂いた。
【主な講義内容とそのポイント】
①「電子カルテの仕組みや課題(看護記録に焦点をあてて)」
→そもそも「データベース」とは、大きなExcelのようなものでそれが何個もあるイメージ。※(この内容はコアカリキュラムの内容で触れられている)
→入力する内容としては「数字」「文字」などデータの形が必ず決められている
→看護師は構造化記録だけでは伝えきれないことが多い
→電子カルテは5年とか10年とか患者の情報を保持し続けなければならない
→複数の医療機関などでの医療情報をやりとりする
⇒電子カルテに関係する業者が複数あるため、取り決めをしている
(国際規約として「HL7」、「ICD10」、「DICOM」など)
→一方、「非構造化データ」はデータベースの定義が難しいデータの集合で、キーワード等の条件付きが難しいデータである(音、図形、画像、pdf、看護叙述記録等の自由書式で記載された内容)
→<看護記録の問題>
⇒1)病院での看護業務量の中で一番多い項目は「日々の看護実施記録」と報告されている
⇒2)賃金不払い労働の主な業務のうち「記録」が57.9%、「情報収集」41.9%を閉めており、残業の原因は電子カルテへの記録や情報収集であることが明らかにされている(前残業も一時期問題になった→残業代の不払いの関係で)。
⇒残業をなくすために「記録」や「情報収集」の時間を減らすようにする流れがある
→しかし、診療報酬改定などで設定された新たな加算を得るための実践内容証明として使われており、確実に年々看護記録は増加している
※加算のためにやっている仕事はおかしいと思いながらも、やらざるを得ない現実がある
→<看護記録の問題>⇒看護現象を構造化データで表現するために、複雑化している。
→テンプレートどこにあるかわからない問題
→エンドレスに終わらない観察項目
→適切な看護計画見つけるのが困難問題(層がいくつもあり、自分が求めている看護計画が見つからない)
②「現在取り組まれている病院電子カルテの方針」 (※将来的な国の動き)
→「医療DX令和ビジョン2030」⇒3つの方針
⇒①「全国医療情報プラットフォーム」の創設→「マイナンバーカード(マイナ保険証)」
→処方箋や介護のデータベースなどを全国どこでも閲覧できる(本人の許可があれば)
→まだまだ完全に整備されているわけではない
→特に重点的に入れるようにしているのは「3文書」(検診結果など)「6情報」(傷病名や感染症の情報など)である
→ただ、看護の情報は全くない
⇒②電子カルテ情報の標準化→全医療機関への普及
→医療機関の60%くらいしかまだ導入されていない
→標準型電子カルテの目的
⇒①「切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供」を実現するため、電子カルテ情報共有サービスをはじめとした医療DXのシステム群(全国医療情報プラットフォーム)につながり、情報の共有が可能な電子カルテの構築を目指す
→今はその電子カルテの中に看護の情報はないが、今後は看護の情報は入るように作っておかないといけない
⇒②「医療機関等業務効率化」を実現するため、民間サービス(システム)との組み合わせが可能な電子カルテの構築を目指す。
→医療DXの推進に関する工程表を踏まえた今後の進め方
⇒<導入アプローチ(一部の医療機関)>
⇒<導入対象>→電子カルテの普及の進んでいない200床未満の医療機関を中心に
⇒<α版(実験的なもの)の対象>→まずは無床の診療所を対象にする
③「標準電子カルテを踏まえた看護師用カルテの将来構想」
→中西先生の研究紹介
⇒「画像化されている文字からテキストを抽出、座標からどの部分を見ているのかを判断する」
⇒見ている部分のみを画像化し、情報収集パターンや看護実践に重要な情報は何かを明らかにする
→電子カルテの使い方(how to)は習うが、情報収集の仕方は習わない
⇒ベテラン看護師と新人看護師の情報収集に違いがある
→ベテラン群は画面を切り替えて必要と考える情報を収集していたため、電子カルテの「操作時間」が長く、「工程数」が多かった
⇒考えながら情報収集している(電子カルテを行ったり来たりしてみている)
→思うところに見たいデータがないので切り替えてみている
→一方新人群は、特定の既定エリアを集中的に、時間をかけて情報収集を行っており、ベテラン群より「操作時間」が短く、見ている時間が長い結果であった(新人は看護記録をひたすら読んでいる)
⇒「業務全般を見る人」「状況把握を優先している人(受持ち患者を中心に)」の2パタ-ンある→個人個人でパターンがある
→その人に合わせた必要な情報が自動的に表示される看護師専用の電子カルテを部門システムとして作ったらいいのでは?
→情報過多の現状が看護師を追い詰めているのではないか?
→視線計測の結果、看護叙述記録(看護師がケア、患者の反応、観察内容等を記録した文書)には読まれる情報と読まれない情報があることがわかった
→構造化データでは、看護実践を十分伝えるには限界があり、患者の感情、価値観、文化的背景などは看護叙述記録にしか表現できないのではないか
⇒看護実践に必要な看護叙述記録の明確化と自動抽出・自動構造化システムの開発
④その他
→「規格化された記録形式によって看護師自身の思考がストップするのを防ぐにはどうしたらいいか
→1つとして、看護師が話した情報がそのまま構造化されたり、次の勤務に必要だと思うものだけが出てくるカルテを作る必要がある
⇒看護として重要な情報を優先的に蓄積して、個別性継続性のある看護を考えることができるようにするには、新時代の電子カルテの仕組みをどうするか
※AIの録音機によるデモ
【質疑応答】(一部抜粋)
・国はDX化をすすめていく(構造化をすすめていく)方向で動いている。しかし、施設基準の維持するためなど、実際にやっているのは看護叙述記録の質の向上である(厚生局適時調査等で問われている)。そのあたりはどうなのか?
→実際にはクリティカルパスなどを使い、記録の簡素化などをしている
→看護実践において患者の状態を共有するために記録を作成しているのだが、実際は目的が何かあったときのための記録(裁判記録などの証拠としての記録)であることを重要視しているから、非常にそこにジレンマを感じている(現場のジレンマ)
→加算のために看護記録を書かなければならないという現実が臨床にある
→現状では、看護記録は増えることはあっても減ることはない
→看護記録はテンプレートなどで抜けがないようにしている
→ICT機器(レコーダーなど)を活用していくことも考えられる
講演会日程
【講 師】
中西 永子 先生
(兵庫県立大学看護学部看護基礎講座看護情報学)
(兵庫県立大学看護学部看護基礎講座看護情報学)
【テーマ】
「電子カルテの現状と課題」
【会 場】
敦賀市立看護大学 第1会議室
※ZOOMでの参加も可能です
【申込・問い合わせ】
参加ご希望の方は、下記までメールでお申し込みください。
つるが発次世代看護あり方研究会事務局
Email : h-yokoyama〇tsuruga-nu.ac.jp
Email : h-yokoyama〇tsuruga-nu.ac.jp
※〇を@に代えてください
つるが発次世代看護あり方研究会とは?
大学と地域がともに育ち、人々の健康と福祉の向上に資するため、次世代看護の役割を議論し、教育研究と地域貢献活動の更なる発展に繋げる機会とすべく、内布敦子学長が発起人となり、2024年4月に立ち上げた研究会です。本学看護系教員を中心メンバーとして、地元創生看護や看護ケアの本質について学びを深め、併せて地域と協働した活動を積極的に展開したいと考えています。

